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2005年9月17日 (土)

ワルツ・フォー・デビー/ビル・エバンス

まるで恋人同士のようなトリオ。

わりと最近出会った人と、音楽の話で盛り上がったときに、私がピアノを弾く、と言ったら、「じゃあエバンス系でしょ?好きでしょ?」と言われ…。
なんだか見透かされてるみたいで、わけもなく恥ずかしくなってしまった…。確かに、エバンス好きです。

とにかく美しく流麗な旋律、ジャズの重いコードの響きもキレイで、タッチも流れるように繊細で官能的で…酔いしれます。

エバンスのタッチは、やさしく女性に触れるような…甘い世界を生み出しています。

でもそんな甘さばかりではなく。しっかりワイルド、時にはブラック系なテイストもあり。
名盤「ポートレート・イン・ジャズ」に収録されている「枯葉」は、それは度肝を抜かれる衝撃だった…。これはスゴイ!!
いわずと知れた、ジャズのスタンダードである「枯葉」も、エバンスが弾くとこうなる…。
繊細な部分は残しつつ、確実にダイナミックで息もつかせぬ展開…すばらしい演奏。さすが巨匠。他に言葉がみつかりません…。

そして「ワルツ・フォー・デビー」

初めて聴いた瞬間に、恋におちました…。。素敵…うっとり。
すごくエバンスらしい曲なんじゃないかなあと勝手に思っているのですが。

最初のフレーズからもう魅力的で、ドキドキ。
彼の繊細さ、透明さ、たたみかけるようなせつなさが、音とその間から伝わってきて…。

そうなの、その音と音との「間」ってせつなさの極致。

ためている思いが、その「間」に、必死にこめられているような気がして…。この曲に限ったことではないけれど、「間」の持つ妙というか何というか…「間」の効果って音楽にも絶大。
以心伝心、言葉(音)の無い瞬間にこそ伝わる思い…。

誰かを大事に、いとおしく思う、恋する気持ちがあふれているような気がして。
きっと、思いを寄せる女性への気持ちを束ねて作られた曲なのね…、と思いきや。
エバンスの姪のために作られた曲らしく…あらららら…(笑)

そういわれてみるとなんとなく可愛らしくも…でもこの上なくロマンチックな雰囲気。
そのロマンチックさを放出してしまわないよう、どこかで抑えながら、情熱をくるんで抱え込むように語りかけるエバンスがとても魅力的…。

トリオとしてのバランスもまた絶妙。
よどみなく、スムージーなべース…。
4ビートなのに、ガツガツしたビート感はうすくて、エバンスのピアノにならって歌うようになめらか。
ベースソロではその存在感を発揮しながらも、エバンスに寄り添うように盛り上げています。
演奏しながら通じ合う気持ちをたしかめているかのように、相性抜群で、恋人同士のよう…。

 エバンスが亡くなって今年で25年。
ちょうど私がピアノを弾き始めたのもその頃だ…。

彼の晩年は狂気と悲愴感にあふれていたらしく。
ドラッグで身体はぼろぼろになり、薬を打ちすぎて動かなくなった腕で必死に演奏していたそうで…。
来日するも日本への入国を許可されなかったこともあったとか。

 こういう胸が痛むような亡くなり方をしているミュージシャンて多いですね。
エバンスはステージで演奏中に倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまったようです…。
死ぬ瞬間でさえも音楽から離れようとしなかった、どこまでもミュージシャンであったエバンス…。

私の中では、「ポートレート・イン・ジャズ」のジャケットの、七三分けでキリっと潔く、意思の強さをうかがわせるエバンスの表情がとても印象的。
でもやさしく繊細でリリカルなフレーズをたくさん生み出していたのね、と思うと。
生で演奏をみたかったな…。                  

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